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第17回 タクシー運転手と会話してみてはいかが?


今の時代、タクシーのない都市を見つけるのは一苦労ではないでしょうか。街中あちらこちらを走り回るタクシーは生活の必需品でありながら、地域別のカラーを持つカラフルーな姿がまた、その都市の独特な風景ともなっています。

だが、これらは表面的なところしかすぎません。車窓を通して中をのぞいてみると、人と人の交流の一コマが目に留まります。車内という小さな空間では、その国、地域の国民性また流行文化を映しだします。

日本では、運転手が前に、乗客がうしろに座るのが一般的ですが(3人以上の場合、後ろに座れないから、助手席に座ることになる以外)。中国は違います。ひとりでも運転手の横に座ることになり、これは習慣です。それを知らない外国人は、彼(彼女)が運転手の家族か親友かと誤解してしまうらしいです。

そして、日本の運転手は、客と一般的な話題について軽く会話をかわし、何時までたっても妙に距離を保っているのに対して、中国では、客さんが乗る途端、まだ何もしゃべらなくても、運転手の方がまず「どちらからお見えになったのでしょうか?」あなたに声を掛けてくるのです。その後、いやでなければ、歓談が終点まで続いていくでしょう。

地方それぞれの方言交じりの運転手は、あなたの興味にあわせて、最近の流行や、昨夜彼が最高面白かった映画を見たとか、ついこの間閉幕した「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議のこと)に討論された修憲(憲法修正)、三農(農民、農村、農業の問題)はあれこれ、ラディンはあーだこうだ…話題の範囲が大変広い。

もちろん、たまには「昔あのごろ、僕は人に運転してもらっていたぞ」(つまり、いまこの仕事をしている僕は相当我慢している)の不満話、また「昨日の客さんは香港の有名な俳優」などのほら吹くっぽい自慢話、更に調子に乗ってきたら、自分の息子がなんて頭のいい子だろうなどの話し…

運転手の話しを聴くことによって、知識を増やすことができ、ニュースを知ることもできる。中には新聞、テレビで聞けないニュースも多いです。統計によると、現在中国にはタクシーが78万台あり、各都市を走り回っています。小さな車内で、毎日、このような新鮮、愉快な談話がたくさん起きているでしょうね。

方言交じりの中国語を知りたい方、今時、現地の庶民の間でどんなことが起こっているのかを知りたい方、今度タクシーに乗る際、運転手の横に座り、積極的会話を交わしてみてはいかがでしょうか?



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