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第28回 13億の中国人とわたし

                      作者: 松峰莉璃(まつみね りり)

北京の秋はみじかい。本当にあっという間に冬の気配が訪れる。四川、深センでの舞台を終えて北京に戻ってみると、もうコートを着ている人たちが。南の湿った空気の中で3週間を過ごすと、普段は肌に良くないだとか、風邪引きやすいとか言っている北京の乾燥した気候が恋しくなった。

中国で俳優という仕事を選ぶと、自然と中国各地をまわるチャンスが増える。ドラマなどではスタジオの撮影は少なく、ほとんどがロケだからだ。中国は土地が広く、地方によって気候が違い、そして56もの民族を数えるために、民族間での習慣が、食べ物が、そして宗教までもが違う。私が育った日本では感じられないスケール。毎回各地を訪れる度に感じる事ができる。

だから一概に中国と言っても様々だ。

私の生活する北京は政治のお膝元、首都だからそこで生活する北京の人たちは誇り高い人が多い。でも最初は近寄りがたいけど、一旦仲良くなると家族のように扱ってくれる。

上海は商業都市。流行はまずここからスタートする。街並みがフランス風だし、女の子達はとってもお洒落。冬はひたすら防寒をしなきゃならない北京生活の私には、冬にスカートとブーツで颯爽とあるく彼女達がうらやましい。

この間滞在していた四川はというと、食の街!という感覚がした。湿った気候による病気を防ぐには辛い物を食べなくてはいけないらしく、道では、朝から麻辣火鍋(マーラー鍋)の香りがする。人々は素朴で優しかった。

民族でいうと、漢民族がほとんどを占めるが、それぞれに特徴がある。中にはウイグル族のように中東アジア系の人もいる。彼らは鼻筋が通っていて、目の色も違う。日本人の中国人に対するイメージを覆されてしまう。

何しろ13億人もいるのだから。

だから中国人同士でも言葉が通じない事があるのだ。
だからお互い小さな事は気にしない。
スケールが大きいのだ。

13億人を抱える中国、日本の皆さんにその中国を、そして中国で生活する日本人を今後紹介していければ幸いです。


作者紹介

松峰莉璃(まつみね りり)
中央戯劇学院 演技科 大学院生
福岡市東区出身
中国で舞台、ドラマなどに出演、中国人の役ができる日本人女優として活躍中。




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